「最大1億円」の補助額が大きな話題を呼んだ事業再構築補助金に、2度目の緊急事態宣言で影響を受けた事業者を救済するための「緊急事態宣言特別枠」が設けられることになった。これまで明らかにされていた「通常枠」「卒業枠」の補助額、補助率はそれぞれ「100万円~6,000万円、2/3」、「6,000万円超~1億円、2/3」だったが、「緊急事態宣言特別枠」では、中小企業に限り補助率が3/4に拡大される(補助額は最大1500万円)。また、この「特別枠」の創設に合わせ、一定の企業に対する支給審査の「(通常枠の)加点措置」も追加される。経営状況の厳しい企業にとっては採択率が上がるので好都合だが、「事業再構築に対する支援というより、単純な企業の資金繰り支援としての性格が強い。制度の趣旨はどうなったのか」と批判の声も聞かれる。
補助金は返済不要であることが魅力的だが、原則「後払い」の制度。同補助金についても「補助事業実施期間終了後(採択決定から1年程度経過後)に、事業者による支出経費の証憑を確認した後に支払いが行われる」とアナウンスされており、支給まで1年程度はかかると見て間違いなさそう。緊急の資金繰り対策としては使えないと考えておくべきだろう。ただし、多くの中小企業が事業継続の危機に直面している状況であることから、よりスピーディに支給する方法として、経産省は「一定の条件のもとで、概算払制度を設ける」とコメントしており、続報が待たれるところ。同補助金は3月中に初回の公募がスタートする予定で、公募期間は1カ月程度となる見通し。また、補助を受ける要件として「事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う」という要件があるが、3月1日時点において、この「事業再構築指針」は公表されていない。