NTTドコモと近畿大学がドローンを活用してキャンパス内を自動巡回する実証実験に成功したことを発表した。ドローンはあらかじめ設定されたルートを自動巡回し搭載したカメラで映像を撮影。遠隔地で撮影データを閲覧することで状況をモニタリングする仕組み。ドローンがキャンパス内を自動飛行する光景に違和感を抱くが、それが日常になる日も遠くなさそう。
ドローンをめぐっては、イベント会場上空での無断撮影が問題になったり、2015年に首相官邸にドローンが落下する事件が起こるなどネガティブな印象を持つ人もいるだろう。しかし、利便性は高くここ数年で利用は一気に加速。農林水産省の調べによれば、農薬などを散布する「散布用ドローン」の令和元年度の販売台数は2,100件で、前の年よりも3割ほど増加している。ドローンの操作を学ぶ「ドローン教習所」も全国に800以上あるというから驚きだ。また近年は、様々なデータとドローンを組み合わせて活用されているのも興味深い。例えば、土中のタンパク質含有率をセンサーで測定しデータ化、含有率が低い箇所へドローンが自動で追肥を行う仕組みが開発されるなど、農業の世界ではすでにイノベーションを起こしつつある。
地方自治体による利用も活発で、例えば長野県伊那市は早くからドローンの社会実装に着手。2017年に信州大学と提携、普及型ドローンと航空レーザーを活用した森林調査を開始。過疎地域の買い物難民に生活物資を届ける事業も行っている。また、大分県佐伯市は、ドローンに野菜を積んで、販売拠点である「道の駅やよい」へ運ぶ実証実験も。高齢化による担い手不足や、自動車免許の返納などにより新鮮な農産物の確保が課題となっており、ドローンがその解決の糸口となりそうだ。
ただ、頭の痛い問題も。ドローンが島しょ部や過疎地の課題を解決できることは実証済だが、民間業者が実施すると採算が合わない。そのため、ドローンを社会インフラとして定着させるには、産官学が連携して活用に取り組むことが重要だ。