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国の税金は金銭による納付が原則だが、相続税は、財産課税という性格上、延納によっても金銭納付が難しい理由がある場合は、一定の相続財産による物納が認められている。

国税庁がまとめた2019年度相続税の物納申請状況等によると、今年3月までの1年間の物納申請件数は61件で前年度から▲38.4%(38件)減少、金額も186億円で同▲42.6%(138億円)減少と、件数、金額ともに大幅に減少した。

物納申請件数は、バブル崩壊後の1990年度以降、地価の下落や土地取引の停滞などを反映して著しく増加した。それまで年間400~500件程度に過ぎなかったものが、バブル期の地価急騰及びその後の地価急落で、路線価が地価を上回る逆転現象が起こり、土地取引の減少から土地を売ろうにも売れず、1990年度に1238件、1991年度に3871件、そして1992年度には1万2千件台まで急増した。

しかしその後は、事前に相続税額を試算して納税準備をするなど相続開始前から納税対策を行う納税者が増えたことなどから、1999年度以降は年々減少している。2019年度は大幅の減少となったが、ここ10年間は1989年度(515件)以来の1千件割れが続いている。

2019年度の申請件数はピーク時1992年度(1万2778件)のわずか0.005%、金額でも同じくピーク時1992年度(1兆5645億円)の0.01%にまで減少している。

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