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三井住友フィナンシャルグループが2021年度にも広告事業へ参入する計画を明らかにした。日本を代表する金融コンツェルンが、なぜこのタイミングで広告ビジネスへと乗り出すのか。直接の要因は、金融庁が進めてきた銀行規制改革にある。同庁の金融審議会が2020年12月に取りまとめた報告書で、アプリ販売や広告、人材派遣など8分野を解禁。手数料収入が先細りする中で、新たな収益を渇望していたメガバンクがそこへ飛びついた構図だ。そして、「お金の出入り」というプレミアム級のデータを握っているのだから勝つのは当然、どこまで伸びるかが問われている。IoTやAI、ビッグデータなどで一人ひとりのニーズや社会課題を解決する「Society5.0」の実現を目指している現在、必然的にデジタル化、キャッシュレス化も進んでいく。そのデータを取りまとめることの価値の高さは計り知れない。

同グループは、すでにキャッシュレス決済データの分析支援サービスを実施しているが、資産運用コンサルティングや、信用スコアリングを活用した融資やポイント還元の仕組みといった展開へと広げられる。さらに、ユーザーの囲い込みが進めば、メディアと連携した独自のマーケティングサービスも打ち出せるだろう。

もちろん、これらをすべて自前で賄う必要もない。専門性を持つ各分野の企業とアライアンスを組むことになるが、肝となるデータを握っていることが強みを発揮することは明白だ。そのアライアンスを巧みに広げていくため、まずはフィンテック企業を始めとした各種スタートアップの取り込みに動くと考えられる。今後は、マーケティングを最新テクノロジーでリードする「マーテック」と呼ばれる企業の買収や資本提携も、今後活発になっていくのではないだろうか。

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