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内田

今年は4年に一度のオリンピックの年です。そこで今回はスポーツを題材に扱った本のご紹介をしたいと思います。


今回ご紹介する本は1985年に角川文庫から出版された山際淳司著「スローカーブを、もう一球」です。タイトルの「スローカーブを、もう一球」を含む全8編収録されている短編スポーツノンフィクション集です。


あるラジオ番組でゲストがお勧めする本を紹介するコーナーで紹介した中で一番興味を惹かれて、近所の古本屋で見つけて購入しました。

私自身スポーツをするのも観戦するのも好きでしたがこのような作品には今まで触れて来なかったのでとても新鮮でした。


1979
年の夏の甲子園3回戦、箕輪高校対星陵高校の延長18回までいった激闘を選手、監督それぞれの視点から描いた「八月のカクテル光線」

近鉄バッファローズ対広島カープの日本シリーズ第7戦を両チームの様々な思惑を描いた「江夏の21球」


さえない大学生活を送る主人公がある日突然オリンピック出場を思いつき、ボート・シングルスカル日本代表になるまでの過程を描いた「たった一人のオリンピック」


巨人に入団しバッティングピッチャーとして過ごす元選手の苦悩と挫折を描く「背番号94」


かっこよさにこだわりハングリー精神と無縁のボクサーを描く「ザ・シティ・ボクサー」

トヨタのトップセールスマンでありスカッシュの日本チャンピオン、勝つことに飽くなき拘り持つ男を描く「ジムナジウムのスーパーマン」


野球名門校ではなく、突出した選手がいる訳ではない県立高校がスローカーブと冷静な洞察力を武器とするエースを中心に秋の関東大会で準優勝するまでを描いた表題作の「スローカーブをもう一球」


特別才能に恵まれていた訳ではない主人公が中学時代にたまたま褒められて始めた棒高跳びで日本新記録を作るまでを描いた「ポール・ヴォルター」


どの短編も登場人物の心情、背景、その時代を踏まえた物語構成になっており、短編で非常に読みやすくなっています。スポーツに興味がない方でもまた違った視点で楽しむことが出来るかと思います。

 是非ご一読をお勧めします。

医療監査部 内田

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