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米国初の音声SNS「Clubhouse」が脚光を浴びている。「Clubhouse」は、いわば雑談のプラットフォーム。著名人がふらっと集まった休憩所での話を、クリアな音質で聞けるラジオ番組という感じだろうか。

ブームの背景に、コロナ禍で雑談が失われたからとの指摘もある。そういう側面もあるが、多数のステークホルダーに配慮して設計された予定調和的なコンテンツへの抵抗という面はないだろうか。YouTubeが、いつのまにかタレントたちの主戦場となったのと同じ構図だ。

とはいえ、YouTubeはあくまでも一方通行のメディア。番組の主導権は配信者にある。ところが「Clubhouse」はその境界線を曖昧にした。舞台でいう飛び入り参加が簡単にできてしまうのだ。しかも「ログ」をあえて残さない仕様であることもメリット。「その場限り」だからこそ明かせる話も当然あるわけで、「炎上」は避けたい著名人や企業にとっては魅力的だろう。

それでなくとも、音声市場は拡大傾向。国内ネットラジオ最大手のradikoは、昨年4月の緊急事態宣言後にユーザー数が急増。1,000万人に迫っている。テレワークが広がり「ながら聴き」需要が高まったことも「Clubhouse」にとっては追い風となった。

ただ、「Clubhouse」がこのまま音声市場の覇権を握るSNSとなるかはわからない。そもそも、SNSのブームは総じて短期的。たとえば、3Dアバターが住む仮想空間「Second Life」は、凄まじいブームを巻き起こしたものの短期間で忘れ去られた。むしろ、現時点で「Clubhouse」の事例から見るべきなのは、音声を活用したビジネスの可能性。すでに、ブロックチェーン事業を手掛けるLayerXが採用イベントに活用しているが、まずは先行事例を整理し、企画に生かすことが重要だ。

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