3月30日、経済産業省がWEB上で使用できる統計グラフ化ツール「グラレスタ」を公開した。グラレスタとは、同省が実施する「生産動態統計調査」の対象である鉱工業品約1600品目の市場動向を簡単に調査したり、統計データを自由にグラフ化できるもの。年別、月別グラフで、生産額や数量の推移を表示でき、関連する品目の動向を確認できる。
「ものづくり補助金」や、つい先日公募がスタートした話題の「事業再構築補助金」など、いわゆる経産省系の補助金の申請においては、事業の新規性、将来性をうまくPRするため、提出する事業計画の中で、市場推移や市場ニーズについて客観的データを用いて分析することが極めて重要。これを怠ると審査において低評価を受けることにも繋がりかねない。ただ、市場データを収集し、さらにグラフ化するとなればそれなりに手間がかかるが、グラレスタを使うことで作業時間を大幅に短縮することができる。
ところで、なぜこのようなツールを経産省が提供するのか。その背景には、データの利活用を促進したい政府の思惑がある。政府は昨年7月、わが国のIT戦略を取りまとめた「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」を閣議決定した。その中で、デジタル強靱化社会の実現に向けて、政府が保有する統計データなどのいわゆる「オープンデータ」を、単に公開するだけでなく、企業に上手く利活用してもらうことで競争力を高める必要性を提起していた。グラレスタの公開も、そのための施策の一角と言えるだろう。
現時点でグラレスタに搭載されたデータは鉱工業品約1600品目のみで使える業界は限られるが、今後はより豊富なデータが搭載されることに期待したい。