来年の通常国会で審議される2021年度税制改正に向け、国税関係書類の押印不要の検討が進められている。麻生財務大臣は10月20日の閣議後の記者会見で、実印と印鑑証明書を必要としない税務書類の手続きについて、原則として押印廃止の方向を示した。押印を規定する国税通則法の改正は、2021年度の与党税制改正大綱に盛り込み、早期の実現を目指す。
国税通則法124条2項では、税務書類(国税に関する申告書、申請書、届出書、調書その他の書類)を提出する者が、(1)法人である場合は、その法人の代表者、(2)納税管理人又は代理人の場合は、その納税管理人又は代理人、(3)不服申立人が総代を通じて提出する場合は、その総代、(4)それ以外の場合は、税務書類を提出する者、が押印しなければならないと規定されている。
例えば、国税関係書類で提出枚数が多い確定申告書にも押印欄がある。国税庁によると、2019年分所得税等の確定申告書の提出人員は2204万人にのぼり、押印廃止は多くの納税者に関係する。
ただし、国会での税制改正審議は例年2月半ば頃から始まり改正法が成立するのは3月末頃のため、2021年度税制改正で国税関係書類の押印廃止に必要な法改正が行われても、来年の2020年分所得税等の確定申告が始まる2月16日までには間に合わないことから、再来年の確定申告から押印廃止が適用されることになるものと思われる。